ウィルスは極小限の生命設計図しか持っていません。その為、寄主となる細胞も動物ごとに違っているのが原則です。要するに、それぞれの動物に固有なもので、せいぜい近似種にしか寄生できません。更に、寄生しても一部分の設計図しかないので、生命全体の設計変更はできないのです。それ故に、寄主細胞とは争いを起こさない共生関係にあるのが原則です。

 

一般的なウィルスは、遺伝子を10個以下しか持っていません。(たとえば、大腸菌に感染するphi-X174というウイルスは遺伝子の数は10個、塩基対の数は5,386対とされています。)

まるで「極小限の生命設計図」を、最大限の宇宙空間に残そうとしていた産物とも思えてしまうのです。あらゆる部分を撲り捨てて、「極小限」の部品を残して来たようにも思えるのです。

そして、同じ空間で発達した植物や動物に憑依して、その細胞を操って増殖を果たすのです。・・・細胞の遺伝子をハイジャックするのです。…コンピューターウィルスにも…

似ています。…

 

このような事から、ウィルスが「転写ミス」を犯して、「病原体」となるのは、一般的には異種生物に感染した初期に限られます。何回か変異して共生関係を作り出そうとしますが、この間が最も危険な時期となります。感染を繰返し変異して「強毒化」しているように見える時期もあります。(但し、この期間というのは、何万年という単位なのか、何億年という単位なのか、判然としていません。)

 

ウィルスが極小限の生命設計図しか持っていないという事は、太古の昔には生物としての設計図を備えていた可能性が高いという事です。これが「巨大ウィルス」の発見につながって行くのです。

巨大ウィルスは、ウィルスの常識を覆すもので、細菌よりも大きなもの、DNAとRNAを併せ持った、増殖可能なものも見つかっているのです。ミミウィルス、ママウィルス、パンドラウィルス、テュパンウィルスと拡大化して来ています。

但し、それらの存在は、海中や天空などの生息空間であり、なんだか地球上からだんだん追いやられて、他の生物が住み難い場所に存在しているようにも思えます。