麹菌は、日本独特の醗酵糸状菌であることを知る人は少ない。それ程、日本人には日常に染みついた菌なのです。(麹菌は細菌ではありません糸状菌;カビの仲間です。)
アジア諸国で使用されている発酵菌は「ケカビ」「クモノスカビ」がほとんどなのです。ですから、中国の酒類は麹菌醗酵ではないのです。(紹興酒はクモノスカビの醗酵酒)
更に、インドネシア、タイ、ミャンマーなどでは、日本の納豆に似た「テンペ」という食物がありますが、見た目も、食感も似ていますが、「クモノスカビ」による醗酵です。
(但し唯一、ミャンマーの山岳地帯のタウンジーには、日本と同じ「ナットウバチルス」による納豆があります。)
ケカビ属、クモノスカビ属は、「接合菌類」であり、コウジカビ属、紅コウジカビ属は「子嚢菌類」なのです。
私は密かに「麹菌食」が、日本人に新型コロナウィルスの感染が少ない、「ファクターX」の一つではないかと考えています。
そして、もう一つが「キノコ食」も「ファクターX」の一つではないかと考えています。・・・勿論、その要因は「それらのもつ酵素」と「腸内細菌」の増殖にあります。
麹菌による腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善が、いくつも報告されています。
麹菌は「酵素の宝庫」
麹菌には、200種類の酵素があると言われています。脂肪、蛋白、炭水化物の酵素がほとんど揃っていて、アミラーゼ群には、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、クルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、プロテアーゼ群には、エンドペプチダーゼ69種とエキソペプチダーゼ64種、アミノペプチダーゼ21種、ジペプチジルペプチダーゼ、セリンタイプカルボキシペプチダーゼ12種、アスパルティックエンドペプチダーゼ11種、グルタミンエンドペプチダーゼ3種、金属エンドペプチダーゼ5種、セリンエンドペプチダーゼ3種、セドリシンタイプセリンエンドペプチダーゼ・・・が明らかにされています。この他、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、チロシナーゼなども含まれています。
これだけ豊富に酵素を分泌すると、相互の影響があり、特に必要でない酵素を抑制する機構も生まれて来ています。イントロンのスプライシングが生じ難く、不完全なmRNAが作られ、タンパク質の翻訳に抑制がかかるのです。麹菌が転写制御だけでなく、転写開始後の制御機構を持っている可能性が高いのです。