新型コロナウィルスの活性・伝染力を無くす「ヨウ素の効果」が注目されるなかで、「ヨウ素の効果」に次いで、他のハロゲン元素の「塩素の効果」「臭素の効果」「フッ素の効果」について、再確認をしておきましょう。

「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」

 

塩素は猛毒ガスとして知られています。ナチスドイツの軍事兵器として開発されました。その後も、農薬などに使われ「ダコグリーン」などは殺菌剤として有名ですね。

日本では、1921年(大正10年)から「水道水の消毒」に使われて来ています。この塩素殺菌水のお陰で、赤痢や腸チフスやコレラが撲滅できました。

Cl+HO⇔HOCl+HCl     2NaCl+2H2O→2NaOH+Cl2+H2

新型コロナウィルス対策でも、「塩素消毒」が最も普及しています。塩化ナトリウムに水を加え電気分解すると、水酸化ナトリウムと塩素が、安価で多量に生産できる利点があります。

但し、ウィルスや細菌に効果がありますが、人体にも傷害を与えます。手荒れだけでなく、眼や呼吸器の粘膜にも障害を与えます。取扱いを間違えて「塩素ガス」を発生させてしまうと大変に危険です。

次亜塩素酸 HClO 酸化数+1 漂白剤、殺菌剤
亜塩素酸 HClO2 酸化数+Ⅲ 危険物第1類
塩素酸 HClO3 酸化数+Ⅴ 危険物第1類  マッチ、火薬
過塩素酸 HClO4 酸化数+Ⅶ 危険物第6類

日本の水道水は、蛇口(水道水出口)で「0.1ppm以上」と規制されています。法律上の製水時の上限は無く、蛇口水が0.4ppmくらいの場所が多いようです。

塩素は水に溶解すると、塩素と次亜塩素酸と塩酸の平衡混合物となります。

水自体が酸性水なら塩素(Cl2)と次亜塩素酸(HOCl)が、アルカリ性水なら次亜塩素イオン(ClO)が多くなります。この効力比は「80:1」とも言われていて、ヨーロッパやアメリカなどの硬水地域での新型コロナウィルスに対する、抵抗性の違いが指摘できると思います。

塩素をナトリウムに結合させ安定化したものが、次亜塩素酸ナトリウムです。これは強アルカリ性です。これを0.05%以上配合したものが台所洗剤の「キッチンハイター」「カビキラー」などです。「浸け置き用」で、素手では扱えません。ゴム手袋の着用が必要です。(台所製品用です)

手足の消毒には、次亜塩素水を使います。こちらは酸性になればなる程、効力が強くなります。頻用すると手が荒れます。また、直射日光に弱く、数時間で効力が失効してしまう難点があります。加えて、有機物などの汚れでも失効してしまいます。手洗いとは別のことなのです。効力には35ppm以上必要とされます。(手足用)