インフルエンザウィルスのワクチンについて、ほとんどの人が無知なのです。
ワクチンで予防はできません。一つのワクチンは、それに合ったインフルエンザにしか影響力がありません。ですから、他のインフルエンザには何の効力もありません。しかも、一回の接種では効きません。さらに、効果といっても症状を和らげることが期待できる程度です。
インフルエンザウィルスは、常に変異を繰返しています。別のインフルエンザになってしまうのです。同じワクチンがいつまで効くのか疑問なのです。
幸いにして、インフルエンザウィルスはウィルスの中では小さく、かつ表面に脂質二重層の膜(エンベロープ)を持っているタイプなのです。この膜(エンベロープ)を破壊すれば、伝染力が無くなるのです。しかも、弱いのです。エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、紫外線など、または56℃で30分の加熱で伝染力が無くなります。
予防の第一は、ワクチンではありません。できるだけ人混みに近付かないことです。
インフルエンザウィルスは生物ではありません。ですから、空気中や土壌中で増殖することはありません。他の生物の細胞をハイジャックして、その細胞を使って増殖するのです。人が感染するのは、鼻腔や咽頭粘膜の表面、上皮細胞に吸着するからです。
上皮細胞のシアル酸に吸着し、エンドサイトーシスにより細胞内に取込まれ、膜融合によってリボヌクレオチドプロティン(RNP)が細胞内に放出され、細胞核に輸送され、細胞核をハイジャックして、そこの細胞を使って増殖するのです。
インフルエンザウィルスは、核蛋白(NP)と膜蛋白(M)と抗原性に基づいてA,B,Cの型に大別され、A型はウィルス粒子表面の赤血球凝集素(HA)とノイラミニターゼ(NA)の糖蛋白により、HAで16分類、NAで9分類されます。(16×9=144亜種)、B型も1亜種、C型も1亜種あります。
こんなに多くの種類、亜種があるので、ワクチンを使っても、免疫力を獲得しても、変異したウィルスには効果がありません。ですから、1シーズンにA/ソ連型(H1N1)インフルエンザに感染し、A/香港型(H3N2)に感染し、A型インフルエンザに更に感染する人が出てきたりするのです。
さて、その他の新型ウイルスなどについては…また次回。