自然循環の中で、土壌中に「未熟な有機物」が多いと、それを分解しようとして、木材腐朽菌の仲間が増えます。この中には、担子菌類(キノコ)も含まれています。

私共は、グリーンキーパーさんやグラウンドキーパーさんの仕事の大半は「サッチのコントロール」だと思っています。何故なら、「芝草病害菌の繁茂」も「芝草害虫の産卵床」も、「フェアリーリング」の発生も、「未分解サッチ」の過多から発生していて、そこから来る「透水性の悪化」がスズメノカタビラの発生要因になり、「藻」や「苔」の発生要因にもなっているからです。加えて、コンパクションの良し悪しも、球の走り具合も左右してくるからです。

フェアリーリングというのは、担子菌(キノコ)の菌糸が放射線状に広がり、その先端に子実体(キノコ)を形成し、全体から見ると菌環(円形のシロ)が出来ている状態です。また、担子菌が未熟な有機物を分解する過程で、芝草の栄養分を補給するので、円形に濃い緑の輪が出現します。菌環(円形のシロ)の中は、撥水性となります。

担子菌の活動は、例年5月から11月頃までつづきます。6月、7月、8月が特に目に付きます。しかし、これは菌糸の先に子実体(キノコ)を発生している時期で、地中の活動は、それよりも長期に亘るのです。

ゴルフ場で、ボールの代わりに打ったりすると、中身の粉(胞子)が舞い散ります。これは、ヒメホコリタケ、チビホコリタケ、ホコリタケです。この他にシバフタケ、コムラサキシメジ、キコガサタケ、カラカサタケ、ニセショウロなどもフェアリーリング形成に関与します。

原因が、「未熟な有機物」なので、農薬で鎮圧しても根本原因の解決にならないことが多いです。(但し原因は未分解サッチの他に土壌に施用したピートモス、未熟堆肥、鶏糞などの過多で発生する場合もあります。)

病原菌

担子菌類 ホコリタケ Lycoperdon perlatum
チビホコリタケ Lycoperdon pusillum
ヒダホコリタケ Vascellum curtisii
コムラサキシメジ Lepista subnuda
シバフタケ Marasmius oreades
ハラタケ Agaricus campestris

キノコの天敵菌といわれている「トルコデルマ」も、1種類だけに同定しては、自然界での適応に欠けてしまいます。季節により、高温に強いもの、乾燥に強いもの、酸性土壌に強いもの等々、様々なトリコデルマの仲間が存在します。