フルクタンは、主にスクロースにフルクトースが重合した三糖以上のオリゴ糖、及び多糖の総称です。

フルクタンの構造について、ざっくりと大きく大別すると

「β(2→1)結合でフルクトースが直鎖状に重合するイヌリン型」と

「β(2→6)結合でフルクトースが直鎖状に重合するレバン型」、及び

「β(2-1)及びβ(2-6)結合の分岐状に重合するグラミナン型」とに分かれます。

 

寒地型芝草が低温期に備えて蓄積する可溶性糖質には、主としてグルコース、フルクトース、スクロースに加えてフルクタンが含まれています。特に根雪直前にはフルクタンの蓄積が増えるのです。

 

フルクタンは主に「3種類」のフルクタン合成酵素(6G-FFT,1-FFT,1-SST)によって、スクロースを基質として、フルクトース転移によって合成されます。

 

その酵素反応には、リン酸化合物質等のエネルギー物質を必要としない特徴があります。フルクタンを重合しながら、グルコースを供給することができるのです。

フルクタンは液胞で合成でき、重合することで浸透圧に大きな影響を及ぼさないで大量に蓄積することが可能とされています。

逆に、フルクタンからエネルギーを取り出す際も、分解酵素の働きだけでフルクタンの末端のフルクトースを加水分解して供給することができます。

このように「分解と合成」が直接的であり、容易であることから低温期の耐凍性向上やエネルギー転換にフルクタンは利用されやすいのです。