ウイロイドのようにウィルスよりも小さい病原体、ゲノムが複数の成分からなる「分節ゲノム」など、動物よりも多くのウィルスが植物に関与していて、既に1000種を超えた数の植物ウィルスが確認されています。

 

植物のウィルスを研究することで、ウィルスのことについて解明されてきたことが沢山あります。

例えば、動物には見られない「ゲノムが複数の成分からなる」分節ゲノムウィルスの存在などです。

また、虫の行動を操るウィルスなども知られています。ウィルスは植物も人間も操ろうとしているのかも知れません。

しかし、基本的には寄主細胞を生かしてコントロールするのがウィルスであり、寄主細胞を殺してしまっては意味がありません。

ウィルスの本当の目的は、寄主細胞に同化して、進化を促すものなのかも知れません。

 

植物は動物のように、逃げたり隠れたりできません。手洗いも、うがいもできません。そこで「ジーンサイレンシング」という方法でウィルスの侵入を防いでいます。ウィルスのゲノムを分解してしまう機能です。「RNAサイレンシング」を「RNAi」と表示します。・・・もっとも、ウィルス側も、この機能を無効にする「サプレッサー」を開発し、感染力を強めています。・・・

もう一つの植物のウィルス対策が「C型レクチン」と「アシアロ糖鎖蛋白」などです。ウィルスが感染する時に使う「受容体」との結合阻止の働きがあります。レクチンは、マメ科植物が多量に蓄積するタンパク質の一つです。・・・こちらは、癌細胞の発見診断に、増殖抑制に医薬品として応用されています。

 

流行性の感染症は、流行が終われば需要が無くなります。企業は将来的に需要の見込めない分野には投資しません。企業が投資しないところを研究開発しても研究者の将来が開けません。

新型コロナウィルスの研究が手薄であり、主要な研究スタッフの投入が為されて来ませんでした。・・・このことが、医療体制側にも、研究者側にも顕著でした。

今回の新型コロナウィルス騒動は、このような「基礎研究こそ公立の機関で潤沢な予算」を使って行われなくてはならないことを痛切に感じさせる出来事でした。