バイオ普及会のトピックでは「微生物の話」が展開されております。

実は、植物も、動物も「既に微生物の発生している世界」に何億年も遅れて誕生して来ており、この為、微生物と様々な関わりをもって生活しています。

人は食べた物を消化することや、一部のビタミンを補給することにも腸内微生物の働きに頼っております。植物も肥料成分の供給を微生物に頼っております。(植物の多くは、微生物により分解された有機物からのアンモニア態チッソを、更に微生物のニトロバクターの働きにより硝酸態チッソに換えてもらい吸収しています。)

私(筆者)も、製薬メーカーに勤務していたときには、「皮膚病図鑑」を持ち歩いておりました。皮膚病の半分が内因性(内臓疾患、アレルギー、アトピーetc.)でしたが、半分は「シラクモ」「水虫」「タムシ」「カンジダ」などによるカビが巣くったもので、そこにブドウ球菌などが繁殖した皮膚疾患でした。皮膚だけでなく、肺にケカビが入ると「ムコール症」に、コウジカビが入ると「アスペルギルス症」に、更に脳がカビに侵されると「クリプトコッカス症」になります。口やリンパが侵されると「ヒトプラズマ症」に、目を侵されると「角膜真菌症」になります。女性の場合は「カンジダ」「トリコモナス」に侵されますと、特有の婦人病になります。

これらは、皆々カビの仲間による病気なのです。

植物も、同様に「病気の多く」はカビによるものです。葉枯れ病原菌(カーブラリア、ヘルミントスポリウム)さび病原菌(プッシニア)、ブラウンパッチ病原菌の(リゾクトニア)、綿腐病の病原菌の(ピシウム),ダラースポット病原菌の(スクレロチニア)、白葉病原菌の(フィロスティクカ)、炭疽病原菌の(コレトトリカム)、フザリウム立枯病原菌の(フザリウム)・・・・・etc.

これらも、皆々カビの仲間による植物の病気なのです。

悪い事に、温暖化が進むと、大変カビに侵されやすくなります。カビの好きな環境は「気温20℃~30℃」「湿度70%以上」なのです。

一方、私達の身体を守ってくれているのも微生物です。皮膚には酵母の一種である「ピチロスポラム・オバーレ」や皮膚常在菌がいてカビの侵入を妨げてくれています。実は、酵母もカビの仲間なのです。

人間も植物も、病気にならない為には、自らの抵抗力を高めることと、自分に都合の良い菌を身近に育てておくことです。少なくとも、都合の悪い菌を増やさないことです。悪い菌もあれば、良い菌もあります。「菌のバランス」を崩さないことです。