土壌中に「放線菌」の多い田畑は優良な圃場ということが以前は言われていました。

これは、土壌中の有機物が「糸状菌」で分解されて、次のステップである「放線菌」の分解の段階に入ったことを示す指標になっています。・・・「放線菌」を入れれば、良い圃場になる訳ではありません。・・・大きな有機物が大きな微生物から分解され、順次、小さな微生物にバトンタッチされていくだけのことです。植物の病気が、ほとんど「糸状菌」から起こされている理由と、「放線菌」を含む「細菌」が優勢になると植物の病気が少なくなる理由がそこにあります。

 

人間の病理学の面から研究が進み、現在では「放線菌」は「細菌」の仲間とされています。

最も知られているのは口腔細菌のアクチノマイセスの仲間です。アクチノマイセス・ネスランディ、アクチノマイセス・オドントリティカス、アクチノマイセス・オリスなどが歯肉炎や歯槽膿漏などの病原菌として知られています。

 

酸素があっても無くても増殖する細菌の仲間です。グラム陽性細菌です。

放線菌の名前から分かるように、「細菌」の仲間としては特異的、複雑な生活環を示します。曲型的な放線菌は、基底菌糸や気菌糸を伸張させて増殖し、そこに胞子を形成するという「糸状菌」に似た形態分化を示すのです。

 

病理学の面から、抗生物質として知られる「ストレプトマイシン」の発見以来、「放線菌」の研究が進んでいます。現在では、遺伝子解析が進み、「菌糸状・放線菌」と類似のDNAを持つ、「結核菌」「アクネ菌(ニキビの原因菌)」、及びグルタミン酸生産菌「コリネバクテリウム(Corynebacterium glutamicum)」も「放線菌」としてとらえられています。要するに、「カビのように菌糸を伸ばす細菌」だけでは無くなっているのです。