有機酸で細菌病や苔藻が増えるという錯誤されている方がいらっしゃいました。
実際には、試験室や圃場で「有機酸を使って細菌病や苔藻を増やす実験」をした人も、成功した人もいません。
脂肪代謝物の有機酸が関与していることが考えられる、という一人の学者の話であるにすぎません。
従って、推論と結論には飛躍があり、有機酸液肥を使用したからと言って、「細菌病が増えた。藻苔が増えた。」という報告はありません。直線的な「因果関係」は無いのです。
ここで、「有機酸」と一口に言っても様々なものがあります。例えば、アミノ酸も有機酸の一つです。このアミノ酸にしても、「実際の市販アミノサン液肥」には、粗蛋白質に近いペプチドや、糖や脂質と結合した糖蛋白、疎水性のアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)もあれば、水溶性のアミノ酸もあるのです。更に言えば、ビタミンCもフェノールも有機酸の一種です。有機酸とは、有機化合物で構成された酸の総称なのです。
別のコラムでも説明したことがありますが、「動物性有機質肥料」では「細菌」が増えます。生の血液などを散布すると、植物の葉は色濃くなります。しかし、非常に薄めて使用してもチッソ飢餓による葉枯れが起きます。濃度障害に似た症状を呈します。
動物性有機質由来の飽和脂肪酸類なら、藻苔を誘発する可能性はあります。それは、透水性を妨げる可能性があるからです。具体的には酪酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などです。
(糖を分解してできるTCAサイクルの有機酸で、細菌病や藻苔の発生が増えるという試験結果も聞いたことがりません…)
総じて、動物性の有機物質か有機質肥料との関連で推論されていることと思いますが、有機酸で細菌病や苔藻が増えると結論づけられた要因は、有機物自体の分解が未熟なのかもしれません。