暗証番号をハッキングして、口座から金銭を盗み取る手口は「おれおれ詐欺」などの手口の一端として良く知られて来ています。それで、自身の暗証番号は「生年月日」や「住所番号」や「電話番号」や「結婚記念日」などに設定しないで下さい、という注意書きを見たことがあると思います。

手がかりの数字などのアルゴリズムがあれば、コンピューターを使って瞬時に解読されてしまうからです。

 

ところで、遺伝暗号のコドンは、組合せが少なく「セントラルドグマ」の項で説明した一覧表しかありません。

あらかじめ、全配列を入力しておけば、ランダムに切断されたDNA断片を数億個、同時並行的に決定することも簡単な事です。断片化した1本鎖のDNAに対して、断片の相補鎖を合成しながら塩基配列を決定します。(Sequence-By-Synthesis法)

この方法は、「次世代シークエンス」と呼ばれ、検体中に含まれる遺伝子配列を網羅的に解読して行きます。ウィルスなども「分離」「培養」などというステップを踏むことなく、例え未知のウィルスであっても、その存在を明らかにすることが可能なのです。

 

日本では、「次世代型シークエンシング」の装置は、ロシュ社、イルミナ社、ライフテクノロジー社の機器が導入されて来ています。

最近では、「第三世代シークエンサー」として、1分子シークエンシング技術を搭載した新機種も販売されています。

1細胞遺伝子発現解析を用いて、数々の生命現象が明らかになって来ています。

細胞間相互作用の情報が得られ、多細胞体における高次な組織構築の理解が進んで来ます。これまで明らかにできなかった先天性疾患の原因遺伝子の探索、診断、治療も可能になって来ます。また、未発の病根も発見できてしまいます。

未来の予告、予言に近いようなことが科学的に解明されて行きます。

時代は、明らかに変わって来ているのです。