本年も猛暑が続いております。
会員の皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?

NHK BS放送で『 BS世界のドキュメンタリー 「あなたの中のミクロの世界」』が再放送されていました。「あなたの中のミクロの世界」第1回:体は微生物の宝庫、第2回「ヒトは微生物との集合体」です。
オーストラリアとフランスのテレビ局との共同制作の番組で2015年に放送されたものです。NHKの解説を借用しますと、

人間の体の表面や内部に棲む微生物の多様性と働きを徹底解剖するサイエンス番組。人類とともに進化した微生物は、私たちの生命の維持にも深く関わっている。(前編)

バクテリア、ウィルス、原生動物、菌類、ダニ、シラミ―人間の皮膚や毛髪、あるいは体内に生息する微小な生物。その数は人間の全細胞の10倍にのぼると言われる。こうした微生物の驚くべき生態と人間との知られざる関係を、特殊な撮影技術やCGで描き出していく。前編では、身体の思いがけない場所に住み着くミクロな生物たちを紹介。地球上の生物多様性と同じで、生物は身体の様々なパーツにバランスを保ちながら生息している。

なかなか興味深い内容でした。
特に、キーワードとして「マイクロバイオーム」という概念に惹きつけられました。

「マイクロバイオーム」とは私たちの体内に棲息しているマイクローブ(微生物)の集合体(オーム)です。特に腸管内のマイクロバイオーム(微生物)を腸内フローラ(細菌叢)と呼びます。顕微鏡で見るとまるで草むらか花畑のように見えるので、腸内細菌糞、腸内フローラとも呼ばれるようです。

最近の医学の常識では、健康を保つためには、人間の内外に存在する”悪いもの”を排除することが重要に思われていますが、この考え方に番組は警鐘を鳴らしておりました。

人間の体の細胞の数は10兆ぐらいですが、微生物の細胞はその10倍の100兆で、私たちの 生物群系を構成しています。私たちの体内に住むあらゆる生物、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のすべてのバクテリア、ウイルス、真菌、原生動物(原生虫)、蠕虫、寄生虫、そしてこれらの微生物の持つ遺伝子(ヒト遺伝子の150倍以上、300万人以上の遺伝子に当たる)を含め、マイクルバイオームと呼びます。異なる数千種の細菌を含む驚異的な100兆ものの微生物が私たちの皮膚、口腔、鼻腔、耳管、胃、腸、膣と体の隅々に生息し、これは、あなたの結腸の一滴の液体の中で、なんと10億以上の細菌が居るということを意味します。

マイクロバイオームは宿主である私たち人間の体に住んでいる単なる「居候」ではなく、私たちの病気や健康と密接な関係があることが、最近の幾つものの研究で確認されたようです。マイクロバイオームは、私たちの幸福で健康な生活を保つだけでなく、私たちの生存そのものに不可欠だというのです。

例えば酸性の物を食べても、酸に溶けやすい我々の歯のエナメル質が溶けないのはバイオフィルム(細菌の層=歯垢)が酸で溶けた穴を塞いでくれるからだといいます。実は私たちの唾液一滴の中には700種、1億の細菌が存在するのです。

昨今の抗生物質の乱用は、私たちにとって有益な善玉菌まで末梢してしまい、現代人に自己免疫疾患、肥満や生活習慣病を引き起こしている番組では指摘しておりました。

本日は、バイオ普及会の研究部が以前まとめた資料を再度紹介致します。

微生物の比較

参考にご覧下さい。次回も微生物の世界のおはなしを継続して投稿していく予定です。