動物の遺体は、髪、爪などの含硫アミノ酸で造られたケラチンと骨格を形成しているカルシウムが最後まで残りますが、比較的短期間で土に還ります。
エビやカニ、昆虫などの外被を纏っているキチンは、セルロースに似た構造のアミノ多糖のN-アセチル-D-グリコサミンが鎖状に数百から数千つながった高分子物質で、難分解なのですが、それでも比較的短期間で土に還ります。
ところが、陸上植物の細胞は、β-1,4-D-グルカンなどを主成分とした細胞壁で囲まれており、セルロース微小繊維を形成していて難分解なのです。
セルロース微小繊維は、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、タンパク質などから構成され、木質化した部位には、さらに難分解なフェノール化合物のリグニンも含まれています。
地球上の有機炭素の約半分はセルロースといわれており、年間約1,000億トン以上が生産されています。
これらの難分解性の物質も、自然界では、微生物の力で分解され、循環されているのです。