アントシアンというのは、色素体の本体(アグリコン)である「アントシアニジン」と、これに「糖」が結合した色素配糖体である「アントシアニン」との総称です。

 

アントシアニジンは、20余種知られていますが、ベラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジンのA,B,C環の環構造の3種の基本形に集約されます。これにB環に付いている水酸基(-OH)やメトルキシル基(-OCH3)の数により、更にペオニジン、ペチュニジン、マルビジンの3種類が加えられ6種類のアントシアニジンに大別されています。

アントシアニンは、結合する糖が様々であり、グルコース、ガラクトース、キシロース、ラムノースなどが配糖体の形で結びついて液胞に含まれています。糖類の他にも、コハク酸やマロン酸などの有機酸が結びついていることもあります。アントシアニジンに、糖や有機酸が結びついたアントシアニンは、水に溶けやすく、安定になります。

 

アントシアンは植物生体内では「フェニルアラニン」と「酢酸」とから生合成され、最終段階での反応は「液胞膜」で行われると考えられています。

アントシアン発現の要因は、「低温」「光量の減少」「チッソ・リン酸の欠乏」など外的要因がありますが、その目的は、アントシアンが生成されることにより、紫外線を吸収しその被害を少なくする、植物生体の保護にあると考えられます。

このようなことから、

芝草の老化による代謝低下でアントシアンが発現しやすくなる。
春の立が早く、回復が早い品種程、アントシアンが出やすい。
肥料の吸収が良い品種程アントシアンが出やすい傾向にある。

但し、2~3年間・芝草が若く代謝が旺盛の間は、アントシアンが出ません。

出やすいのは、

芝草の老化、古いグリーン程、出やすくなる。
猛暑で秋の回復が為されないで激寒に突入した時、
寒の戻りが急激で、温度差が高い時に出やすくなる。
矮性で生育旺盛な品種程、出やすくなる。

特に、猛暑に強いニューベントなどの品種程、アントシアンも出やすくなるものが多いそうです。

 

アントシアンは、植物の生体保護反応なので、アントシアンが出るほど、生育が確保され、回復が早くなり、病気にも強くなります。しかし、このような生体防御反応は出させない事に越したことはないのです。