「ブンカイザー」の効力の持続性について

 開発の当初より、「分解サッチ」の分解力に優れるのは、「ピシウム」「フザリウム」「リゾクトニア」などであることを紹介して来ました。そして、これらの微生物の全てが病原菌ではないことも紹介して来ました。善玉菌も多いのです。

 一方で、殺菌剤は一網打尽、しかも抗菌スペクトルが広くて持続時間の長いものが、重宝に思われています。

 殺菌剤を使うと「未分解サッチ」が増える。増えると殺菌剤の効力が薄れた途端に、更に「ピシウム」「フザリウム」等々が、増殖する。こうした悪循環が増幅してしまうことを紹介して来ました。

 こうした状況下で、「未分解サッチ」の成分を「繊維素(セルロース)」が占めていることに着眼して「繊維分解酵素(セルラーゼ)」を主体とした製品開発を行いました。

 この時、当然、姉妹品として、木材などの難分解成分の「リグニン分解酵素」の資材も準備して来ました。

 これらは、木材腐朽菌・・・「きのこ」などの仲間・・・の中の「植物病原菌拮抗微生物(トリコデルマ)」の出す酵素を選択致しました。安全で、耐病性を加味してのことです。また、「酵素」は生き物ではないので、農薬の影響を受けないで、いつ、どこでも、一定の効果が期待できます。

 最近、微生物資材の中で「バチルス・スブチルス」即ち「納豆菌」のものが、多く出回っています。「バチルス」というのは、細菌(バクテリア)の中で「桿菌」というフットボール型のものを指しています。ご存知のように「ムギワラ」に沢山潜んでいる菌です。当然、芝草の茎葉にも沢山、付着しています。納豆菌を散布し実験してみても、なかなか「ムギワラ」も「芝滓」も分解が進みません。納豆の中には「バチルス」が生きていますので、「納豆と刈滓」を混合してみられると分かります。「納豆とテッシュペーパー」を混合しても分かりますよ。

 また、「酵素入り」といっても、「脂肪分解酵素」「蛋白質分解酵素」などでは、繊維は分解されません。むしろ、酵素自体が蛋白質ですので、蛋白質分解酵素を配合すると、他の酵素まで失活させてしまう可能性があります。「菌体入り酵素剤」などというキャッチフレーズで飛びつくと、目的が何なのか分からなくなることもあるのです。よく、酵素名前を確認してみてください。

土中の持続性

 「純粋セルラーゼ」と「ブンカイザー酵素」とは違います。「ブンカイザー」はセルラーゼを中心とした周辺酵素群を成分としています。また「ブンカイザー」には、「土壌酵素安定剤」を配合してあります。土壌中でも土が多いほど吸着性が良く、砂土やピュアーサンドでは大変吸着性が悪く、試験データーに、かなりの誤差が出たので「安定剤」を開発したのです。
そして、リグニン分解材は周辺酵素に留めました。何故なら「芝草にはリグニン(木質成分)が少なかった」ということと、「未分解サッチで問題になるのは、リグニンではなくセルロース」ということからでした。

当初より「木材腐朽菌」を親とした酵素です。当然、「リグニン分解酵素」も揃えてありました。しかし、「リグニン」を分解しても、あまり「未分解サッチ」の分解につながりません。従って「ラッカーゼ」資材は、できても製品化しなかったわけです。

 2014年8月の「ゴルフ場セミナー」P122~P123に詳しく掲載されていますが、文化の浅いアメリカでは、醗酵食品(味噌・醤油・日本酒・食酢・納豆)などの文化が無いので、「サッチ分解促進剤」の馴染みが無いと記載されています。しかし、バイオエタノール開発で、決して遅れはとっていないのですよ。アメリカでは、「サッチ分解促進剤」ではなくて、「バイオデーゼル」として「バイオCAIYA」の成分が紹介されているのです。

 記事の中で「ラッカーゼ」で、実用面で十分といえる程度の効果が見られる。サッチを20%~30%減少させることができる。年2回のコアリング+目砂と同じ効果を出すことができる。これはたいしたものだ、と述べられています。

 更に、もっと画期的な速効性を見せたのが「トリコデルマ産のセルラーゼ」であり、散布後3日でサッチの分解が増大したと記載されています。ただ惜しむらくは、2週間もしたら効力が無くなったと記載されています。(但し、土壌安定剤などは無い試験!!)

 酵素は蛋白質でできています。土中で分解され失活します。ですから、環境を乱さない安全な資材たりうるのです。一回の施用で一年中効いていることなどありえません。

土壌酵素安定剤はそれなりの効果があります。とりわけ砂地用に開発致しました。

 しかし、「未分解サッチ」は適度の量をコントロールすることが肝要です。サッチを完全に無くしてしまうのではありません。必要な時に、必要な効力が求められます。 

 さて、あなたは「ラッカーゼ」を選びますか、「セルラーゼ周辺酵素」を選びますか?