さて、ラッカーゼに関して今回は話を続けます。

記事中、ジョージア大学の研究で「ラッカーゼを2週間おきに2回使用して、コアリング+目砂と同じ効果を安定して得た」。エジソン州立大学で「セルラーゼ散布後3日以内でサッチの分解が増大した」但し2週間しか効果が持続しなかった。ラトガーズ大学で「7日~14日ごとの目砂散布で年間6mm以上の目砂の効果が高い」と報告しています。

 

 文章の表面だけ読んで、早トジリをしてはいけません。

 何故、「ラッカーゼ」の方が長く効き、「セルラーゼ」の方に即効性があるように感じたのか。どうしたら、「セルラーゼ」の持続時間を長くできるのか。目砂散布で、床土が増量され、その分、有機物含量が下がっただけで、本当にサッチが分解されていないのではないか、etc.何も答えていません。理由も分かっていないようです。

方法によれば、「セルラーゼ」で「コアリング+目砂」の効果が「ラッカーゼ」よりも高く出せますし、持続性も持たせることができます。更に、コアリングだけでなく「剥く刃の穴あけとブンカイザーの併用」では、抜群に良い結果が得られています。

担 子 菌 類
褐色木材腐朽菌 白色木材腐朽菌
トリコデルマ属 ファネロケーテ属
セルラーゼ ラッカーゼ
セルロース分解酵素 リグニン分解酵素

 上記の比較表は、一面的であることをお断りしておきます。即ち、セルラーゼやラッカーゼを分泌する微生物は、他にも多くありますし、上記の微生物も、その酵素だけを出しているわけではありません。いろいろな酵素を同時に出しているのです。

 セルロースは、グルコースがβ-1,4結合によった高分子化合物であり、エキソ型(末端から2単糖づつ切断する)のセロビオヒドロラーゼとエンド型(ランダムに切断する)のエンドグルカナーゼと、これらの酵素によってオリゴマー化されたものを単糖に分解するβ-グルコシダーゼが組み合わさった方が、分解が進みます。ファネロケーテ属の白色腐朽菌が分泌するのも、ラッカーゼだけでなく、セロビオヒドロラーゼがセルロース分解にも関与しているのだと思います。