さて、本日は我々の身近にある酵母菌のお話などをしましょう。カビ大国の日本では、昔よりカビを利用して、健康維持を図って来ました。味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)、日本酒、天然酢(てんねんず)、味醂(みりん)、鰹節(かつおぶし)、干柿(ほしがき)これらはカビの利用によって製造されています。ついでにカビ(酵母)とカビ以外の細菌の仲間である乳酸菌を利用した漬物(つけもの)。同様に、細菌(バチルス)を利用した納豆(なっとう)などもあります。

最近では、薬の製造や工業用にも幅広くカビが利用されて来ています。

利用されている主なカビを表にしました。

通 称 属  名 特   長
アオカビ

コウジカビ

アスペルギルス 味噌、醤油、味醂、日本酒、天然酢、鰹節、干柿の製造に利用
クモノスカビ リゾーブス アルコール、ブドウ糖の製造に利用
ユミケカビ アブシジア 醤油製造に利用
紅コウジカビ モナスクス 紅酒の製造に利用
ケカビ ムコール チーズの熟成に利用
ツチアオカビ トリコデルマ セルラーゼの製造に利用
ジベレラ フザリウム ジベレリンの製造に利用
アオカビ ペニシリウム ペニシリンの製造に利用

但し、同じ属名でも種によっては有害なものもあり、種によって利用方法が異なる場合も多いのです。属名は大きな分類と思って下さい。

例えば、上表のうちアスペルギス属でも利用は分かれています。

コウジカビ アスペルギルス・オリゼー 味噌、醤油、味醂、酢、日本酒
アスペルギルス・ニガー 有機酸、焼酎、酵素剤の製造に利用
アスペルギルス・グラウカス 鰹節の製造に利用

ペニシリウムでは

ペニシリウム・クリソゲナム ペニシリンの製造に利用
ペニシリウム・カマンベリテ カマンベールチーズ製造に利用
ペニシリウム・ログエフルテ ロックフォールチーズ製造に利用
ペニシリウム・シトリナム ヌクレオチドの製造に利用

付け加えておきますと、カビ大国の日本では、植物の病気もカビによるものがほとんどです。また、その病原菌を抑えるのにもカビが有効に働きます。そこで、病原菌カビをより詳しく調べてみましょう。

カビは糸状菌と呼ばれ、形態によって鞭毛菌属、接合菌属、子嚢菌属、担子菌、不完全菌属に分けられます。この病原菌の属によって芝草の病気を分類致します。

 

属 名 病 原 菌 病  名
不完全菌属 フザリウム 雪腐れ病
アスコチタ 葉枯れ病
カーブラリア 葉枯れ病
セプトリア 葉枯れ病
フリカラリア 葉枯れ病
ヘルミントスポリウム 葉枯れ病
コレトトリカム 炭疽病
グロエオセルコスポラ カッパースポット
フィロステクタ 白葉病
鞭毛菌属 ピシウム ピシウム・ブライト、綿腐れ病
子嚢菌亜門 エリシヘ うどんこ病
スクレロチニア ダラースポット、雪腐れ病、白絹病
オフィオボラス オフィオボラス病
担子菌 リゾクトニア リゾクトニア・ラージパッチ

ブラウンパッチ

タイフラ 雪腐れ病
担子菌亜門 プッシニア さび病