微生物の話も終盤を迎えてまいりました。前回、お伝えしませんでしたが、「カビの生息状況による分類」を補足的に掲載しておきます。参照ください。
菌根菌(植物の根域に生息) | |||||
根系生息菌 | 絶対寄生菌 | ネコブ病菌 | ソウカ病菌 | ||
分化寄生菌 | 導管病菌 | 立枯れ病菌 | ナラタケ病菌 | ||
外性病原菌 | フザリウム | パンティシリウム菌 | |||
セファロスポリウム菌 | |||||
未分化寄生菌 | ピシウム菌 | 紫モンパ | |||
土壌生息菌 | フィトフソラ菌 | 白モンパ | |||
リゾクトニア菌 | |||||
腐生菌(植物には無害な菌が多い) | |||||
土壌中での生息圏の垂直分布図
さて前回までは、カビ大国、日本について解説を重ねて来ましたが、カビの10分の1、もっと小さい100分の1以下という「細菌」について説明を加えましょう。
細菌は小さすぎて、光学顕微鏡では最大の800倍~1000倍にしても、はっきりと見ることができません。おおよそ0.5~2μmの単細胞、あるいはその集合体です。バクテリアとも呼ばれて、カビと同様、地球上のあらゆるところにいます。
形は丸型が多く、「球菌」これ1つが「単球菌」、2つが「双球菌」、順に「4連球菌」「8連球菌」「連鎖球菌」「ブドウ状球菌」となります。少し「楕円」になったものもいて(フットボールの形)、短いのを「短桿菌」、長いのを「長桿菌」と言っています。この他、「コンマ状菌」「らせん菌」と「鞭毛菌」がいます。
細菌は、人類の発生以前より地球上に溢れていましたので、皮膚にも消化器官にも生息しています。空気の中にも沢山います。水の中にもいます。
人が良く利用している「細菌」には、「納豆菌(バチルス・スブチルス)」や「乳酸菌(ラクトバチルス、ロイコノストック、ペディオコッカス、ストレプトコッカス)」などがいます。
人にとつては好ましくない病原菌もいます。チフスを起こす「サルモネラ・タイフィ」、コレラを起こす「ビブリオ・コムマ」、魚介類を腐敗させる「シュードモナス・フローリセンス」、化膿菌の「シュードモナス・アエルギノサ」、虫歯の原因菌の「ストレプトコッカス・ミュータンス」、最近問題になっている日和見感染起因菌の「セラチア」・・・・・・etc.
植物と細菌について説明いたします。基本的には、細菌は小さいので、細胞壁のある植物には侵入が困難です。ですから、植物の病気はカビ(糸状菌)が多いのです。「植物の細菌病」は多くは、カビが先導して(細胞壁を壊して)感染したもの、切り傷、擦り傷で感染したもの、昆虫などの食害により感染したもの、等々に限られます。また、動物のように循環器系を持っていないので、細菌による全身への広がりは遅く、もし、細菌病の被害が蔓延したのなら、被害の拡散は他に原因があることが多いようです。
困ったことに、植物が細菌に侵されますと循環器系が無いので「抗生物質」も効き目を広げられません。植物が細菌病に侵されますと、植物に「抗生物質」を使用した場合、「抗生物質」はカビには効きにくい為、カビによる二次被害を助長してしまう可能性の方が高いのです。