増粘多糖類は、食品添加物の仲間に含まれます。「高い粘性を持つ、水溶性の多糖類」であり、微妙な触感に影響を与えます。歯ごたえ、舌ざわり、のど越し、そして味覚にも影響を与えます。食材に「とろみ」を付けるとだけではなく、安定剤、ゲル化剤、増粘剤、糊料などとして、幅広く使われているのです。

 

 前述したように、柑橘系の「ペクチン」、海藻類系「カラギナン」、マメ科植物の実より抽出した「カラヤガム(ガーガム)」「ローカストビーンガム」「タマリンドガム」、そして微生物が生成する「キサンタンガム」「カードラン」などが良く知られています。

 

 微生物というのは、「キサントモナス」であり、「シュードモナス」より分離された細菌の仲間です。「ザントモナス」とも呼ばれています。霜の氷核となる「氷核細菌」でもありますが、植物の細菌病を起こす細菌の仲間でもあります。

 この「キサントモナス」を培養する「培養液」から増粘剤が分離、製造されます。「グルコース」「マンノース」「グルクロン酸」などより成る多糖類で、低濃度でも高粘性があり、耐酸、耐塩、耐熱、耐酵素性、耐凍性に優れています。

 この「キサンタンガム」は、食品だけでなく、美肌効果があり、肌の表面に膜を形成して、水分を保つ効果があり、化粧品に使われています。また、口紅にも配合されています。

 

安全性について

 増粘多糖類は、名前から連想して「糖尿病に悪いのでは」という疑問が湧きますが、なにせ、添加材であり、微量なので、ほとんど問題になることは無いようです。

医療面では、逆に「固形物の溜飲が困難な病人」「老人」「小児」などには、大変に重宝な「流動食」を提供してくれているようです。

 増粘多糖類は、天然物に由来するものばかりですが、紅藻類のスギノリ科、ミリン科、イバラノリ科の藻類より抽出されている「カラギナン」などは、食経験が浅く、安全性が十分に確保されていません。構造的にはD-ガラクトースと3,6-アンヒドロ-D-ガラクトースが交互に連なった直鎖状の多糖類です。