除草剤の世界的な潮流を見ると、「分岐アミノ酸合成阻害剤」の「ALS阻害剤」即ち「スルホニルウレア系」が全体の半分を占めそうな勢いで伸びています。次が「光合成の阻害剤」、その次が「植物ホルモンの撹乱剤」、その次が「芳香性アミノ酸合成阻害剤」です。

 

前に、アミノ酸の生合成については、解糖系で①ホスホグリセリン酸からセリン、グリシン、システィンが②ピルビン酸からアラニン、バリン、ロイシンが、TCA回路に入って③2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)からグルタミン酸、グルタミン、リシン、プロリン、アルギニンが、④オキサロ酢酸からアスパラギン酸、アスパラギン、メチオニン、トレオニン、イソロイシン、リシンが⑤エリトロース4-リン酸とホスホピルビン酸からフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンが⑥ホスホリポシルピロリン酸とATPからヒスチジンなどが生成されていくことを図に示しました。

 

人には「必須アミノ酸」というものがありますが、「分岐アミノ酸」と「芳香族アミノ酸」がそれです。これにリジンとメチオニンとヒスチジン、(アスパラギン酸経由の)トレオニン(スレオニン)、が加われば、全部揃います。・・・分岐アミノ酸は、アルキル側鎖を持っているバリン、ロイシン、イソロイシンです。芳香族アミノ酸は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンです。・・・人の体内では合成できないので、除草剤に使っても人への影響が少ないと考えられて来たのです。

 

 作用機序      商品名
分岐アミノ酸

(ALS阻害)

スルホニルウレア系 クミルロン、ダイムロン、
イミダゾリノン系 トンナップ乳剤、オフEC
ピリミジニルサルチル酸系 ピスピリパックナトリウム
芳香族アミノ酸系 グリホサート ラウンドアップ、サンフーロン