植物と動物との違いの大きなポイントは、動物の細胞が細胞膜で覆われているだけなのに対して、植物の細胞が細胞膜の上に、更に「細胞壁」が覆っていることだと思います。この「細胞壁」は、セルロースでできていて、細菌が侵入できないのです。

この為、植物の病害の80%が糸状菌によるものとなっているのです。

もう一つの要因が、動物にあって植物にないのが「循環器系」の組織です。師管と導管は一方方向に水や栄養分を運ぶことができても、吸い上げるだけなのです。この為、植物が細菌に侵されても動物のように重篤な状態にならないのです。

 

植物の病気の80%を起こす糸状菌は、菌糸で増える無性生殖(アナモルフ)の時代と有性生殖(テレオモルフ)の時代があります。有性生殖(テレオモルフ)の時代につくる胞子は生殖器官に相当しています。その形状と繁殖の方法の違いが分類作業の一つの指標となっています。

 

糸状菌は、「真菌」と「変形菌」に大きく分けられ、更に「真菌」は、「子嚢菌」「担子菌」「ツボカビ菌」「接合菌」に分けられます。・・・植物の病気は前者の二つが圧倒的に多いのです。・・・例えば、病原性「子嚢菌」には「いもち病」「うどん粉病」などが、病原性「担子菌」には「さび病」などがあります。

芝草の病気では、病原性「子嚢菌」によるものは、「ヘルミントスポリウム属菌」による「カーブラリア」「ビポラリス葉枯病」「ドレックスレラ葉枯病」や「ダラースポット」などがあります。

病原性「担子菌」によるものには「ラージパッチ」「ブラウンパッチ」「リゾクトニア葉枯」「サビ病」「雪腐褐色小粒菌核病」・・・などがあります。

この他に、「鞭毛」で運動する「遊走子」を形成するものがあります。現在では外観は菌類様でも、こちらは「偽菌類」とされ、管状マスチゴネマと呼ばれる小毛を鞭毛表面に持ち、「真菌類」に含まれていません。藻類に近い存在と考えられるようになって来ました。「卵菌門」「卵菌網」の「ピシウム属菌」です。この「ピシウム属菌」には、病原性を有するものと、病原性を有しないものがあります。その違いは、「遊走子」の形成方法にあります。「遊走子嚢」の中で鞭毛を形成して放出されるものに病原性が認められるのです。ほとんどの「ピシウム菌」は、逸出管の外側で球嚢が形成され、この中で「遊走子」が形成されるのです。

参考

「子嚢菌門」:「フザリウム属」 「担子菌門」:「リゾクトニア属」  「偽菌類」:「ピシウム属」