ハロゲン元素の中で、標準酸化還元電位が塩素(Cl2)より低く、ヨウ素(I2)より高い、その中間に位置するのが臭素(Br2)です。

臭素は、英語でbromineです。語源のギリシャ語bromosは「悪臭」という意味です。常温で赤褐色の猛毒な液体です。室温で容易に気化して赤色の蒸気となります。この蒸気も非常に腐食性が強いのです。反応性が高く、単独で存在することはなく、他の元素と結合して臭化物か臭化塩として存在しています。

世界の生産量の80%が二カ所で産出されています。イスラエルの死海付近の井戸の塩水、アメリカのアーカンソー州の地下塩水から抽出されているのです。日本でも、世界の産出量の僅か0.03%程度を生産しています。

 

ハロゲン元素の仲間であり、殺菌力が強く、猛毒でもあるため、昔は「除草剤」「殺虫剤」にも多数製造されていました。土壌の殺虫燻煙剤としても臭化メチルが多量に使われていた時代がありました。

「次亜塩素酸」よりも「次亜臭素酸」の方が、より経済効果が高かったのです。

「水の殺菌」にも塩素よりも臭素の方が「安い」のです。

昔は、「塩素」よりも「臭素」という時代があったのです。

 

この為、「考古価値のある文化財の不燃処理剤」として、「白黒写真の感光剤」として、またアルミ、銅、半導体などへの「エッチング(表面の腐食防止加工)剤」としてなどで、現在でも僅かに使われています。

 

但し、反応性が高すぎて「不安定で分解が早い」という難点がありました。それ以上に問題は・・・・・! ! !

最大の問題は「フロンガス」

そして問題は「フロン」です。ハロゲン元素の名前の由来「ハロン」が「フッ素」と「塩素」の化合物(クロロフルオロカーボン)で、「オゾン層破壊物質」として世界中の非難を浴びてしまったのです。この「フロン」よりも悪玉が「ハロン」なのです。「ハロン」は、メタンを基にして、結合している「水素」が、「臭素」「フッ素」「塩素」と置換したもので、オゾン層破壊力がフロンよりも強いのです。

これで、世界中から「フッ素」と「臭素」の「使用禁止命令」「使用自粛命令」が出されてしまったのです。