前述した「土中の腐植物質の存在」の項で、腐植の三分類について説明を致しました。「腐植酸(フミン酸)」「フルボ酸」「ヒューミン」の分類方法です。

前項で説明しましたように「人工再生腐植物質」は、「泥炭」「褐炭」などを硝酸で処理し、それをカルシウム化合物やマグネシウム化合物で再度、中和したものです。

この為、「人工再生腐植物質」の有効な主成分は「腐植酸(フミン酸)」であり、「フルボ酸」は、ほとんど失われています。

 

フミン酸 フルボ酸
アルカリ溶液には溶けるが酸性溶液には溶けない アルカリ溶液にも酸性溶液にも溶ける
分子が大きい 分子が小さい
有毒金属をキレート化する フミン酸よりも希少価値が高い
濃い褐色~黒色 黄色~黄褐色
植物の成長を促進する 人体にも健康効果があるらしい

 

こうした状況下で、土中の腐植物質の陽イオン交換容量「CEC」と、陰イオン交換容量「AEC」とを調べたデーターがあります。それによると、「CEC」の値に比べて「AEC」の値は10分の1以下ですが、pHが低くなるほど増大すると報告されています。

 

こうしたことから、硝酸(NO3)やリン酸(H2PO4)は、土壌から流亡しやすいようです。但し、土壌がpH5以下の酸性条件では、土壌pHが酸性になると鉄やアルミニウムが土壌溶液に溶け出して活性化し、反応が強くなります。その結果、硝酸(NO3)やリン酸(H2PO4)は、鉄やアルミニウムなどと水酸化合物を形成して固定されてしまいます。流亡もしない代わりに植物にも吸収しにくくなるのです。逆にpH7以上になりましても、リン酸カルシウムなどの溶解性が悪くなり、吸収されにくくなります。pH8.5を超えた土壌では、リン酸カルシウムとなり難溶性で植物が利用できなくなります。

 

ですから、pH6前後が硝酸(NO3)やリン酸(H2PO4)の吸収しやすい、植物にとって生育しやすい土壌pHとなるのです。