遺伝子組換え食品については、マスコミでも取り上げられています。
現実には、遺伝子組換え「細菌」「真菌」、それから「ウィルス」も実用化されているもの、実用化の間近のものが沢山あるのです。
以前に取り上げた「しじみ〇〇個分のオルニチン含有」と謳った食品もそうです。
しじみから抽出したオルニチンではありません。遺伝子組換えのコリネバクテリウムが産出するオルニチンなのです。
このコリネバクテリウムは、既に1950年代に日本でグルタミン生産菌として発見され、その代謝経路からグルタミン酸、プロリン、アルギニンなどの生産菌、γ-アミノ酪酸は、脳機能改善栄養として注目されていた成分で、この生産菌などが実用化されています。
例えば、アルギニンは、少量ニンニクなどに含有されていますが、これを微生物産出で作らせ、食品添加物、肝機能促進剤、男性の不妊治療剤などにも使われているのです。
農業分野では、植物生育促進根圏細菌の研究が進んでいます。
空気中のチッソを固定する、ミネラルの吸収を促進する、植物ホルモン様の作用を産出する、それから植物の環境ストレス改善、・・・・etc.。
以前から良く知られていた「菌根糸状菌」は、アーバスキュラー菌根菌でVA菌根菌と呼ばれて来ました。
凍霜害を回避する「非氷核細菌」も、シュードモナスの遺伝子組換えにより成功しています。
バチルス・チューリンゲンシスは、害虫を殺すBT剤として知られています。
トリコデルマ・アトロビリデに、グルコース・オキシダーゼ生産能を高める遺伝子組換えを行った(アスペルギルス・ニガーのグルコース・オキシダーゼ遺伝子を組替える)菌株は生物防除能が高く、注目されています。
但し、遺伝子組換え「細菌」「真菌」の安全性が全て確認されているわけではありません。2000年に、カリブ海沿岸都市、コロンビアのカルタヘナで決議採択された議定書が、生物多様性条約として、これらの実用化へのガイドラインとなっているのです。
微生物分野での遺伝子組換え技術は、21世紀に課せられた、「人類の大きな夢」を実現する為の研究課題の一つなのです。