江戸時代に「苗肥」と呼ばれた「緑肥」がありました。

 

緑肥というのは、栽培した植物を枯らしたり、腐らせたりすることなく、土壌に耕し鋤き込んでしまう土壌改良の方法です。堆肥化する場所も、運搬する手間もかからない方法です。

 

現在では、蓮華草やクローバーが良く「緑肥」として使われています。江戸時代には、この他に「ひまわり」が良く使われたようです。「ひまわり」は、根から強い「根酸」を分泌するので、火山灰の多い日本の土壌では、リン酸の働きを取り戻して、大変に有効な方法でした。種子ができる前に鋤き込むことが肝要です。

 

また、「えん麦」も使われました。「えん麦」は成長が早く、栽培が容易であり、根から分泌されるアベナシンがアブラナ科の「根こぶ病」を防ぐ効果があり、穂が出る前に鋤き込むことが肝要です。

 

「蓮華草」「クローバー」は、現在では知られています「根粒菌」が共生しています。空気中の窒素を固定して、次期作物に窒素成分の補給をするのです。

 

江戸時代には、「マメ科植物」が緑肥として使われたようですが、こちらも「根粒菌」の共生です。

 

現在では、リゾビウム(Rhizobium)、アゾトバクター(Azotobacter)、クロストリジウム(Clostridium)などが根粒菌として知られていますが、既に江戸時代に利用されていたことは、驚くべきことです。

 

ついでに、江戸時代に全国的に広がった「サトウキビ」と「サツマイモ」は、植物の内部にエンドファイト細菌が共生していて、空気中の窒素固定をしていて、作物が育たないような荒地でも育ちます。肥料が無くても育つのです。

こちらのエンドファイトは、ブラデリハイゾビューム(Bradyhizobium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属などです。

現在、野生の稲から分離された稲の細胞間隙に生息しているハーバスピリリュム(Herbaspirillum)属が芝草などでも試験されています。