1980年代以降、約30年に亘って驚異的な発展を遂げてきた中国経済、計画経済を市場経済に持ち込んで、世界経済に大きな影響を及ぼすまでに成長して来ました。

鄧小平の「先富論」に理論的な正当性を得て「先に豊かになれるものから」という号令の下、スタート致しました。しかし「先富」から「共富」への転換がはかられないまま、経済格差が広がる一方なのです。
 今や、経済格差を放置して効率一辺倒、ただ経済成長を政権の拠り所としてきた胡錦濤・温家宝の政治前政権への批判は高まるばかりです。

農村部と都市部での経済格差、沿岸部と内陸部との経済格差、都市内部でも拡大する貧富の差、これらが経済成長よりも優先的な改革目標になりました。

まずは、一党独裁の内部改革です。権力が法律の上にあっては、法治国家ではありません。こうした権力を剥奪する為にも一時的な強権発動の体制作りが必要です。(戒厳令に近いものです。) 対米関係や周辺諸国との緊張激化の演出、政治利権の追放(汚職の摘発)綱紀粛正、四中全会で「依法治国」を掲げ「人治」から「法治」の徹底、法に基づく行政の指導が行なわれています。

次は、軍部内の改革(前政権のトップの逮捕)、国営企業の改革(終身責任追及制度の導入)、地方財政の立て直し(人事異動の活発化、情報公開、審査部門の独立性)、過剰生産の抑制、不動産の過剰在庫の解消、(投資の伸びよりも、生活基盤を豊かにする)、金融政策の調整(金利切り下げ、新規貸し出し増、通貨供給量増)・・・etc.推し進められています。

その次に、都市籍の廃止、生産性の向上、内需の拡大、外需の拡大、こちらには時間がかかりそうです。(「未富先老」の回避)
そして、最後に人口減対策、老齢化対策、失業者対策、基本的生活保障、最低賃金、最低生活の保障という貧困者対策が必要となるだろう。

まだまだ、開かれた技術革新、循環型環境社会の実現、機会均等の就業・進学制度、財政の近代化、世界経済との相互発展にはほど遠い現状です。