夏になると「多量の散水」により、根に「酸欠状態」が起きていると錯覚する人がいます。実際には、根圏の酸欠状態は、根圏土壌の、細かな目砂や未分解有機物の蓄積による目詰まりや、それによる、根圏の嫌気性菌の増加が問題となるのです。
更に、悲惨な事に「根に〇素」と称している製品の多くが「○○化カルシウム」や「○○化水素水」などが成分であることが多いことです。
薬局で売られている「○○化水素水」は「〇キシフル」「〇キシドール」などの名前で知られています。衣服にこぼすと「脱色」が起こります。「色はげ」です。勿論、「殺菌」の為に使用します。
芝草に使用しても、同様な事が起こります。「芝草の色」が変わります。
また、過散水による嫌気状態を改善することはありません。土壌表層の善玉菌も悪玉菌も殺菌します。
土壌中や芝草の根の先端にまで、〇素を補給することはありません。
もともと、芝草の根には、強力な酸化力が備わっているのです。但し、カリやチッソ欠乏により根の先端部も基部も酸化力が弱くなることはあります。この根の酸化力の根源は、根で生成される過酸化水素によるものと考えられています。(メチレンブルーを還元して得られるロイコメチレンブルーを含む寒天に根を伸長させると、根の周りが酸化されて青く変色します。芽生えをオルトデアニシジンを含む寒天培地上に置くと、発芽した根の先端部に触れたところが酸化されて赤変します。オルトデアニシジンは、過酸化水素とペルオキシダーゼの共存下のみで酸化されます。)
芝草の根の酸化力は、生育に不利な土壌条件に打ち勝つための生理作用の一つと考えられています。
根の活性力の指標の一つであり、根の活性が落ちた状態では「赤褐色」をしています。
根の先端部が「真っ白」なのは、根の活性が高く、酸化力が高いことを示しているのです。