学術的な「F1」とは異なりますが、商品流通している「F1種子」の作り方について説明します商品流通している「F1種子」というのは、生産者が望んでいるような品質特性を「種の交配」によって、強化したものです。「遺伝子組み換え種子」ではありません。

品種改良は、「一代交配種」「F1ハイブリッド」「雑種第一代」などと呼ばれています。

 

「F1種子」は、一代限りの種子です。「F1種子」を使って「種」を採ろうとしても採れないのです。たとえ採っても、非常に不揃いの低品質のものしか採れません。同じ作物が採れないのです。

何故なら「雑種強勢」が為されているからです。一代目は親株の優秀な部分のみ引き継ぎますが、二代目以降は、悪い面が沢山出てきてしまうのです。また、多くは「種が出来ない品種」を掛け合わして作られているのです。これを「雄性不稔」といいます。

 

人間の場合も同じですが、遺伝子が異なるものほど「雑種強勢(ヘテローシス)」が行われます。一代目に限り、優秀な品質が揃うのです。

この為、品種が異なるものどうしを、開花後に無理に人工授粉させるのです。開花前に「雄蕊を除いたものを袋がけして」開花後に人工授粉させるのです。

(遺伝は、全て母系遺伝です。受精時に、ミトコンドリア内で、精子、雄蕊からのミトコンドリアは卵子内での細胞分裂時に分解されてしまうからです。「母本選抜」)

 

人工授粉時に、ハウス内の二酸化炭素を3~5%という高濃度にします。自然界では0.035~0.037%です。人間は苦しくてハウス内に入れません。ミツバチを使って授粉させるのです。種の保存の本能によって、無理やり異種間の授粉が可能になるのです。

 

更に、突然変異などで雄蕊が無くて生まれて来たもの「雄性不稔株」や、花粉の稔性は正常でも、自家受粉できない「自家不和合性」の花粉を意図的に使います。

もともとが、「雄蕊」を摘んで人工的に交配して「F1種子」を作るのですから、この方法は、「F1種子」を採取するだけなら、純粋な「F1種子」を採る良い方法です。

しかし、自然界に漏出すると、天然の交配種を絶滅に追いやりかねません。

 

要するに、偶然に産出される「遺伝子異常株」を利用して、工業的に大量生産されたものが、世界の大手メーカーの手による「F1種子」なのです。

生産者にとっては、夢のような希望通りの「種子」なのです。在来種の危機なのです。