増粘剤は、セメントや塗料の重要な成分となっています。

 火力発電の排煙脱硫から発生する「二水石膏」が、廃棄物利用として現在はセメント製造原料に有効利用されています。アスベストより劣りますが、増粘剤として「メチルセルロース」を混和することで、これが、モルタルのコテ作業向上、水中不分離性混和剤、高流動コンクリート用の分離低減用増粘剤として活躍しているのです。そして後年、バイオポリマー系の「ウェランガム剤」やアクリル系の「ポリアクリルアミド剤」、ビニル系の「ポリビニルアルコール剤」などが開発され、水中コンクリート用に「ポリエチレンオキシド」などが使われるようになりました。また、「アルキルアリルスルホン酸塩」と「アルキルアンモニウム塩」の二つの界面活性剤を主剤とすることで、フレッシュコンクリートが生み出され、更に「ポリカルボン酸塩素系AE減水剤」の登場により、コンクリートは高強度、高流動性のものに進化して来たのです。

 ところで、増粘剤のうち、「増粘多糖類」は、実は「インスタントラーメン」に活躍していて、これの応用で、「とろけるチーズ」「さまざまなゼリー」「もちもちロール」「こんにゃくゼリー」などが生み出されて来ているのです。

 更に、化粧品の分野でも大活躍しています。

 

 では、もともとの「原料をもとに分類した」増粘多糖類を表にしてみます。

原料をもとに分類 もとの原材料 主な増粘多糖類
種子由来の多糖類 グアー、タラ、タマリンド、オオバコ、ヒマワリなどの種子、 グアガム、タラガム、  ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム
樹脂由来の多糖類 キバナワタモドキ幹枝 カラヤガム
果実・野菜由来の多糖類 コンニャク、

サトウ大根

グルコマンナン、   ペクチン
海藻由来の多糖類 褐藻類、

イバラノリ、

寒天、カラギナン、   カードラン
甲殻類由来の多糖類 エビ、カニの甲殻 キチン、キトサン
微生物由来の多糖類 グラム陰性細菌 キサンタンガム、ジュランガム、カードラン