バイオビジネス普及会では、自然循環型のグリーン作りを推進しています。
現在、地球規模でエネルギー資源の見直しや再生エネルギーの研究開発が進められていますが、これはエネルギー大量消費型の社会が一方で自然破壊を招いてきたことへの大きな反省に基づいています。化石エネルギーを消費するだけのシステムにはもはや限界が来ています。私たちは自然の大きな仕組みを理解し、自然の恩恵を最大限に享受しながら、自然を破壊しないサイクルを考えなくてはなりません。
地球上の生命循環を考えてみましょう。そのサイクルにごくおおまかに生物を位置づけると、植物を「生産者」、動物を「消費者」、そして微生物を「分解者」と表すができます。この3者が健全に機能することによって生命の循環が行われるのです。なかでも、眼に見えない微生物の働きは、自然にとって重要かつ必要不可欠なものと言えます。
近年、ごみ問題を解決する方法として「生ゴミの肥料化」や「蓄糞の肥料化」が進められています。そのような中、ゴルフ場で排出される「芝草の刈りカス」については、「残留農薬」や「亜硝酸体チッソ」が含まれているため家畜の飼料には適さず、「焼却」や「野積み」もいずれ規制の対象になります。これを生ゴミと同様に堆肥化して肥料として循環させることができれば、低コストで自然の循環に資することができるのです。
以下に芝草の堆肥化の方法を記します。
芝草の刈りカスのコンポスト化
●醗酵最適域
項目 | 最適環境域 | 最低条件域 | |
① | 水分量 | 50%〜60% | 70%以下 |
② | 材料温度 | 55〜60℃ | 35℃以上 |
③ | pH | pH 8〜10 | pH 5以上 |
④ | C/N比 | C/N 7〜10 | C/N 5〜30 |
⑤ | 酸素濃度 | 12〜20% | 10%以上 |
●手順
①水分量を50%~60%に調整する。屋根をつけて雨水の流入を防ぎ、水分量の多い「新しい芝草の刈りカス」を追加していく。特にベント芝は水分量が多く、醗酵が促進される。
②温度を55~60℃に高く保つために、刈りカスを50cm以上に積み上げ発酵熱を確保する。
③pH値が低い場合、消石灰を1%程度(生石灰の場合は0.5%程度)加えて、pH値を上げる。
④芝草の刈りカスにはチッソ成分が不足しているので、醗酵促進剤として尿素を0.5から%添加する。ただし醗酵促進剤「タイヒダネー」を使用する場合は不要。
⑤月に2~3回、切り返し作業を行い、内部に酸素を十分入れる。コンプレッサーなどを使用しても良い。
⑥発行促進の種菌として「タイヒダネー」を1m3あたり300~500g、できれば「米ぬか」「ふすま」などで5~10倍に増量混和して全体にまんべんなく入れ込む。
●その他留意点
① 60〜80cmの竹に温度計を結びつけ、50cm以上深いところの堆肥温度をはかり管理する。
② まれに発火することもあるので、注意して堆肥化する。
③ 山のノリ面などを利用して、段々の醗酵層を作り、2〜3カ月で下層へ落とすようにすると作業が容易になる。
④ 悪臭が発生している(嫌気性になっている)堆肥の場合は、「クィッカー」を使用して悪臭を抑える。
⑤ 一年以上醗酵させたものに「クィッカー」を混合して使用するのも良い。
●簡易腐熟度判定方法
① 形状……芝草の原形をとどめていないこと
② 色合い…こげ茶色で土色に近くなっていること
③ 臭い……土の臭い、もしくは無臭になっていること
④ 菌糸……放射菌の白い菌糸が見られれば上質になっている
⑤ C/N比…測定器があれば測定する。7〜10が完熟の目安
芝草の刈りカスとともに気をつけなければならないのは地下の根部です。ゴルフ場やサッカー場、公園など、頻繁に芝が刈り込まれる芝地では、「刈り取り量」に匹敵する量の「未分解サッチ」が枯死根として残ります。この未分解サッチが増えると、土が目詰まりを起こした状態になり、通気性と水はけを悪化させます。水はけが悪くなると肥料の効き目が低下するだけでなく、病原菌や害虫の温床となってしまうのです。グリーンキーパーやグランドキーパーの任務の大半は、こうした目に見えない地下部の未分解サッチのコントロールにあるといっても過言ではありません。
一般に好気性菌は嫌気性菌の19倍の分解速度があると言われます。汚濁した池水を浄化するのにエアレーション(曝気)を行うのは、好気性菌の活性を促すためです。同様にゴルフ場ではコアリングやスパイキングなどを行って地中のエアレーションを行い、好気性菌を活性化させ、未分解サッチの分解スピードを速めます。
バイオメンテナンスの根幹は、未分解サッチの分解を促進する菌および酵素、さらにその酵素の働きを補助する補酵素、この3つを三位一体で活用することにあります。特にサッチを分解する酵素は、季節や場所を選ばず、また農薬と併用しても一定の効果が発揮できるという特性があります。また、分解を促進する菌は病害に対する拮抗菌でもあり、バイオメンテナンスを効果的に用いることで、病気や害虫を減少させ、芝草を強くすることが出来るのです。
バイオビジネス普及会ではこうした微生物の働きを活かした様々な製品をご用意するとともに、自然の仕組みを活かした効果的なグリーン作りを提案しています。
地球上の生物は少なからず太陽や月の影響を受けています。太陽の存在により、ほとんどの生物の生存が可能になっていますし、月の引力により潮位は変化しています。さらには、夜に渡りを行う渡り鳥などは星を目印にしますから、星も生物と密接に結びついていると言えます。地球上の生物は非常に大きな生命圏の中で数多の恩恵を受けながら生きているのです。
たとえば虫は満月になると産卵しますし、満月の日に種まきをすると発芽しやすいということも農家では経験上広く知られています。さらに植物は月の満ち欠けに従って自らの養分の流れをコントロールしています。おおまかに区分けすると、新月をはさんだ7日間は養分の流れは「根部」に集中します。逆に満月をはさんだ7日間は養分の流れは「茎、葉」に集中するのです。新月と満月の間にある上弦の月の前後は養分の流れが上部に向かい始め、逆に満月から新月の間の下弦の月前後では養分の流れが下部に向かい始めるのです。
つまり、このサイクルを認識すれば、微生物資材を効果的に投入することが可能となります。それが自然の仕組みを活かした自然と共生するメンテナンス手法なのです。