生態系を保全し、環境破壊を防ぐためには、できるだけ農薬を用いずに農業やグリーン作りを行うべきだということはわかっていても、現実には極めて難しいことと言わざるをえません。なぜなら無農薬の管理には多大なコストがかかりますし、十分な効果が期待できるまで長い時間を要するからです。ゴルフ場やサッカー場のように迅速にお客様のニーズに応えていかなければならない施設では、使用量に配慮しながらも農薬を使わざるを得ないのが現状です。ただし、農薬が自然循環を断ち切るものであるという側面を忘れてはなりません。農薬による殺菌は、「悪玉菌」と同時に「善玉菌」をも殺してしまうからです。
バイオビジネス普及会では、農薬の使用量を極限まで減らしながら、できるだけ自然循環にのっとったグリーンメンテナンスをめざし長年研究を重ねてきました。当初は有用微生物を含んだ資材を投入し、「善玉菌」による健康なグリーン作りを試みました。しかし、これだけでは完全に農薬を不要とするまでには至らず、少量の農薬であっても、その殺菌作用により、せっかく増えた善玉菌が全滅してしまうのです。
このような模索の中、どこかに突破口があるはずだと考え、着目したのが「酵素」です。そもそも酵素は微生物から分泌されるものであり、微生物の有用性の正体なのです。微生物はそれぞれ酵素や特定物質を放出して、他の微生物の発育や代謝を阻害することにより自身の成長環境を作り出します。これら酵素や特定物質を「antibiotic」と呼び、日本語では「抗生物質」と訳されています。これらの物質の性質を知れば、うまくグリーン作りに応用できるのではないかという光が見えてきました。
さて、一口に酵素といっても様々な種類が存在します。自然界には25000種に及ぶ酵素が存在すると言われ、人間の体には5000種ほどの酵素が働いていると考えられています。もちろん、土壌中にも酵素が存在します。主なものをあげると、炭素循環系酵素［アミラーゼ、セルラーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、インベルターゼ、アセチルエスターゼ、グルコスオキシダーゼ他］、チッソ循環系酵素［プロテナーゼ、アスパラギナーゼ、ウレアーゼ、フルタメートデカルボキシラーゼ，アラニントランザミナーゼ他］、リン循環系酵素［フォスファタラーゼ、フィターゼ、ヌクレオチターゼ他］などです。
このように自然界に豊富に存在する酵素ですが、実はほとんどの酵素は単体ではうまく機能することができません。金属イオンや低分子の有機化合物といった分子と結合して、酵素の持つ機能を補強しています。これらの分子を補酵素とよび、補酵素の多くはビタミンとして知られています。つまり、微生物を働かすためには酵素が必要であり、酵素が働くためには補酵素が必要で、このバランスが土壌の健康に大きく影響していると考えられるのです。このバランスを考え、バイオビジネス普及会が「微生物」「酵素」「補酵素」それぞれの有効成分を用いた資材が下記です。
| 製品名 | 機能と特徴 | |
| ① | バイオCAIYA | 微生物：「菌寄生菌」「拮抗菌」「抵抗性を高める菌群」を投入。病原菌の感染源を減少させ、病原菌に対する抵抗性を高めます。 |
| ② | ブンカイザー | 酵素：「土あおカビ」の一種から「繊維質の分解機能」に優れた酵素を抽出したもの。サッチの分解に優れています。 |
| ③ | バイオ補酵素 | 補酵素：土壌酵素「カタラーゼ」、「ペプチターゼ」の活性を促し、芝草の色出し、黄化現象の予防に効果があります。 |
| ④ | Dr. 芝用補酵素 | 補酵素+ミネラル：リン、カリなどに加え、ビタミン類も豊富に入っており、定期的な使用により土壌の改善に効果があります。 |
補酵素は酵素と反応してその機能を引き出す物質ですが、酵素を構成する物質として酵素に取り込まれるのがミネラルです。バイオビジネス普及会では、酵素の性質を決定する要素としてここにも着目し、まず温泉の土壌のミネラルを調べました。人間の身体にとって効能がある温泉ならば、必ず土壌にその痕跡があるはずだと考えたのです。
その温泉の土壌からミネラルの成分を抽出したものが「カンポー石」。試験を重ねた結果、以下のような効果を見ることができました。
| 溶脱ミネラル（やせ地、厭地）を自然によみがえらせる |
| 土壌の有益微生物群を増やす |
| 芝草の病害菌を抑制し、土壌の病理性を改善する |
| 土壌に活性を与え、「保肥力」「保水力：を高める |
| 微生物フローラを整え、有害線虫などを寄せ付けなくなる |
このカンポー石の成分を配合したものが「Dr. 芝用補酵素」です。
資材の効果を考え、それぞれのグリーンに最適なバランスで資材投入を行うことこそ、バイオメンテナンスの第一歩なのです。
